自宅を建て替え

厳しい容積率をクリアして生まれた3世帯5人家族の賃貸併用住宅 東京都S様邸

3階にある子世帯のLDKは、明るく広々とした空間。格子の間仕切りでキッチンとリビングを緩やかに仕切りつつ、キッチンからリビングまで壁一面をタイル貼りとし、空間のつながりが表現されている。
さまざまな要望を自由設計で叶えた理想の住まい



3路線5駅を徒歩圏内に有するS様邸は、ご両親と息子さんご夫婦、そしてお嬢様がそれぞれの居住空間で暮らす3階建ての賃貸併用住宅。2階の賃貸居室を挟み、1階が親世帯とお嬢様の、3階が子世帯の空間となっています。


容積率160%という厳しさをかいくぐり、快適な住まいが誕生するまでをご紹介します。


建替えへの想い テナントの退去、息子夫婦からの同居提案。様々なタイミングが揃って

母「もともと、ここには私の両親が建てた築60年の木造家屋があり、主人と私はその家で40年近く暮らしていました。広い家でしたが、古いので、いつかは何とかしたいと思っていましたね。ただ、1階をテナント貸ししていたので、借主が退去したら、という考えでした」
父「その方が2021年、急に退去することになったのが、今回の建て替えのきっかけです。息子夫婦にそのことを話すと、自分たちも一緒に住みたいとなり、それで世帯住宅を考えはじめたんです」
左:落ち着いたグレーのスクエアな外観が都会的な印象。s様ご一家も入居者も、右端のエントランスから共用ポーチを通り、それぞれの住居へと向かう。
右:洗濯物を干す場所として、親世帯のお母様が当初から希望していた屋上。その半分以上のスペースにソーラーパネルが設置されている。




息子「ゆくゆく自分がこの土地を継ぐことを考えたとき、両親が元気なうちからそにいたほうがいいだろうと。妻からもそういわれたので、建て替えのタイミングで同居することにしました」

ネクスト・アイズとの出会い  専門家同士をつなぐ専門家との出会いで、建て替え計画が本格化

母「ネクスト・アイズとの出会いは、都内で開催された相談会がきっかけです。チラシを見て、夫婦で参加しました」
屋上からは、ターミナル駅付近の高層ピルなどが一望できる。左から、子世帯である息子さん、親世帯のこ主人、奥様。



父「その場でいろんな話を聞き、家づくりに関する税制面のサポートもしていただけるということだったので、それは心強いと思いましたね。私にも多少の知識はありますが、建て替えに伴う仮住まいや解体、竣工後の検査など、すべてを妻と二人で行うのは絶対に無理です。建築会社や設備会社の知り合いはいても、個々の専門家をトータルにまとめてくれる人がいてくれなければ…。ですからネクスト・アイズの存在は我々にとって遥渡りに舟Jでした」

ネクスト・アイズに求めたこと プロジェクト・マネージャ—のように、全体を見て適切な助言が欲しかった

息子「当時の両親としては、自分たちがいなくなった後、子世代に迷惑をかけないようにしたいという想いがあったと思います。ですからネクスト・アイズの栗原さんには相続対策を相談させてもらうなど、いろいろと頼りにしていたはずです」
写真:1階エントランスの奥にある共用ポーチ。奥が親世帯の住戸入口、その手前に2階への階段がある。左側の賃貸住戸は現在、お嬢様が使用中。賃貸住戸にはコンパクトながらバス、トイレ、洗面は独立型でデスクスペースも完備されている。




父「我々は最初から建て替えるなら賃貸併用にしたいと思っていたのですが、栗原さんには『それなら悠長にはできません』といわれたことを覚えています。コンサル契約をしたのが2021年12月ですが、2年後の3月に入居者が入ることを見越して解体は2022年8月、着工は9月。今からそれに向けて動き出さないとダメですと、具体的なスケジュールの線引きをしていただきました」



息子「確かに、栗原さんはプロジェクト・マネージャー的な役割だったと思いますね」



父「それと賃貸経営をするうえで、栗原さんには最初に市場調査を行っていただき、その結果をもとに賃貸居室のスペースや賃料などを設定していきました。また管理会社も複数社をご紹介いただき、その中から条件のよいところを選べたり、解体李業者と外構会社は住宅メーカーを通さずにネクスト・アイズからの分離発注にしてコストを抑えてもらったり、自分たちだけでは手の回らないところをサポートしてもらえたのがよかったと思っています」

へーベルハウスに決めた理由 設計力と対応力が魅力だった


息子「このあたりは家を建てる上での制約が多いんです。特にうちの場合は、容積率が160%。しかも建築華準法の接道義務で建て替えには土地を後退させねばなりません。うちは南北両面が道路に接しているので、合計2m以上後退させた上で容積率を考えることとなり、かなり広さが限られてしまうんです。そのことを教えてくれたのが、ヘーベルハウスの渡辺さんでした」
左:子世帯の玄関は2階にあり、そこから階段で3階へ。引き戸で隠れた階段上は収納スペース。
中: ホームエレベーターは主に親世帯が使用。「1階から屋上に行くのに重宝しています」とお母様。
右:楽器の演奏が趣味という息子さんの要望を受け、実現した防音室。リモートワークにも対応す るしつらえとなっている。





父「そこから3階建てにしようとなり、世帯の住居と賃貸スペースをいかに広く取るかの検討が始まったんです」


母「同居していた娘も一人暮らしをしたいということになり、何度もプラン調整をしてもらいましたが、渡辺さんはこちらの要望に対し、すぐ具体案を提案してくれたのが好印象でした。コンペした3社の中で、実は金額面ではヘーベルハウスが一番高かったのですが、多少高くても、一度建てた家は何十年も残るので、プランとして気に入ったほうがいいと思い、ヘーベルハウスに決めました」

建て替えを振り返って 着工時期の遅れがありつつ、借り手はすぐにつき、結果オ—ライ!

息子「思えば、限られた敷地に家を建てる上でいろんな無理難題を突きつけましたね。賃貸部屋が欲しいとか、妹用にもう部屋欲しいとか、防音室が欲しいとか、屋上までエレベーターで行きたいとか(笑)。それに対してヘーベルハウスはあらゆる微調整をして叶えてくれました」
写真:セットバックによって建物面積は減ったものの、動線や間取りの使い勝手がよく なったせいか、暮らしていて狭さを感じることはないと話すS様こ一家。親世帯のダイニングも日当たり良好。



父「一っ残念だったのは、着工の時期が当初の予定より2か月近く遅れたこと。理由は、特殊なクレーン車が11月にしか確保できないからでした。これは渡辺さんが悪いのではなく、特殊車ゆえに台数が少なく確保が難しいのが原因だと思いますが、おかげで竣工が3月末ギリギリになってしまいました(笑)」


母「これにはヒヤヒヤしましたね。工事時間を延長するなどでエ期を縮めていただいて何とか間に合い、入居者もすぐに決まったので、結果オーライでしたが」


父「ともあれ、容積率をフルに使うためにさまざまな微調整を重ねて完成した家に、今はとても満足しています」

"コンサルタントの目" 市場調査から建築・管理会社のコンペまで間違いのない選択をサポートします

ネクスト・アイズ 栗原 浩文


S様邸のあるエリアは4階まで建築が可能ですが、市場調査等を経て、敷地に対して賃貸経営による利益が得られる階層として3階建ての賃貸併用2世帯住宅をつくることとなりました。

コンペでは、鉄筋コンクリー ト系の建築会社を中心に複数社を参加させた結果、対応力の面からヘーベルハウスが選ばれました。途中、重機手配の関係で着工が遅れましたが、立地と価格のバランスのよさからすぐに借り手が決まり安心しました。

なお、管理会社も当社のコンペの上で決まっています。

”建築会社からのメッセージ” テーマは間口の狭い敷地の中に、いかに2世帯と賃貸を納めるか

旭化成ホームズ  渡辺 康平さん



親世帯様と若世帯様、それぞれに意見をしっかり持たれており、ご判断も早かったことから、打ち合わせのたびによいものになっていく実感がありました。プランとしては、将来的に親世帯様の居住スペースを賃貸にすることも視野に入れつつ、敷地の中にいかに2世帯と賃貸部分を確保するかがテーマでした。屋上を使いたいという親世帯様のこ要望に対して屋上にエレベーターでアクセスし、万ーエレベーター停止の際には螺旋階段で若世帯様に繋がる動線は、斬新なアイデアだったと自負しています。
物件名
S様 賃貸併用住宅
家族構成
3世帯5人(親世帯・息子さんご夫婦・娘さん)
構造工法
鉄骨3階建て
設計
旭化成ホームズ
施工
旭化成ホームズ
住宅コンサルタント
栗原 浩文
取材・原稿 冨部 志保子さん
撮影 杉浦 章浩さん

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