相談者は東京都世田谷区の敷地を所有している69歳で、相談物件の隣地に自宅を所有（土地115㎡・築12年2階建て110㎡木造家屋）しており奥様との二人住まい。

相談物件：賃貸アパート
エリア：東京都世田谷区
敷地：　約200㎡・東道路　4ｍ幅員　建蔽率60％、容積率160％
用途地域：第1種住居地域
アクセス：駅徒歩6分と駅近で周辺環境は良好。

相談敷地には賃貸住宅が建ち、8戸全て1ルームの18㎡の間取り。設備は3点ユニット＋ミニキッチンで30年以上行っていない外装や屋根の塗装などのメンテナンスも必要。
現況収支は月間で40万円程度プラス。そこからメンテナンス費用や固定資産税などを引くと手残りは減少してしまう。

まだ先とはいえ自分自身の相続のことも視野に入れて計画をしなければならないと弊社へ相談に訪れる。

お客様からご相談された世田谷区の不動産は賃貸事業を行うには申し分のない利便性や周辺環境を誇っており収益を得ることができる。
将来を見据えるうえで現況賃貸を修繕して賃貸事業を続けた場合と建替えた場合に得られる収益の差がどのくらいになるのか、詳細な事業計画書を作成し各メリットとデメリットを説明したうえで方向性を決めてもらうことをご提案した。

現況をリフォームした場合

外壁・屋根の塗装、防水、設備の総入れ替え等、ほぼ全面的なリフォームを要することで3,000万円を超える費用が掛かりそうであること、築年数の表記も変えることができないことを説明したところ、リフォームして貸すという選択肢はなくなった。

建替えた場合、建築費用の高騰もあることから厳しめに見た収支計画で安定した賃貸経営が可能か客観的な目線で確認

1.複数会社の市場調査の結果から大きめの1Kの25㎡以上と1LDKの40㎡以上の賃貸住宅適していることを確認。
2.収支効率が良いと思われる3階建ての木造賃貸と軽量鉄骨造の2パターンの収支計画書を作成。
木造賃貸に実績のある住宅メーカーと鉄骨3階建ての賃貸実績に長けている住宅メーカー2社の3社に各1Kと1LDKタイプの2パターンのプラン作成を依頼し、各工法で賃貸経営を行った場合のメリット・デメリットを解説。
3. 3社の見積書及び賃料査定金額に基づいた、1LDK中心のファミリータイプ6戸と1Kタイプ11戸の収支計画書を比較。
全ての建築資金を借り入れで賄った場合の収支計算を確認したところ、1Kのほうが収支上良いことが判った。

1Ｋ：　50万円
1ＬＤＫ：　41万円

空室リスクを避けるためには競合物件の少ない1LDKの方が良いのではないかという意見がある一方で、当立地要件であれば大きめの1Kタイプは競合物件も多くないことから空室リスクは少ないと見込んだ。

相談者の相続人は妻68歳、長女32歳（結婚し子供2人）長男30歳、次男26歳（長男、次男は未婚）相続人は4人。

・長女は仕事の関係でご主人と福岡在住、現在は賃貸住まいだがご主人様の親が都内に一戸建て所有しており将来はそちらを相続予定のため、自分の相続分配は考慮しなくてよいとの回答。
・長男は海外赴任で不動産などは未所有。転勤族のため自宅は次男に相続する意向。
・次男は世田谷区に一人暮らし。

暫定的ではあるものの現アパート経営は将来的には長男が引き継ぐ方向で進めることとなった。

・相談者の金融資産は3000万円、他に不動産資産として自宅＋当該賃貸物件を所有。

金融資産についてはこれからも金融資産が増えていく可能性が高いため、5年後を目途に遺言書作成のお手伝いをすることとなっている。

建築会社3社でコンペを行った結果、鉄骨の3階建て共同住宅の中でビジュアルも良く全11戸の1Kが全て27㎡以上取れている住宅メーカーと契約した。
自主管理であったため立退きの流れや手順をアドバイスし、交渉は始まったばかりではあるものの今のところ4世帯の立ち退きも決まり、残り半分の4世帯の方向性も見えている。

建築資金はローンで賄い不動産管理費や固定資産税、将来の家賃下落や空室率、修繕積立金も考慮した資金計画書も提案し検討いただいている。

建物完成時期である春先に向けて立ち退きが上手くいくことと管理形態（一般管理か一括借り上げか）を決めることや管理業者選定などがこれからの作業として残っている。

今後も円滑に賃貸経営ができるよう全面的にサポートしていくことをお約束して、進めております。