80歳母親が単身で住む実家をどうする?
お父様が5年前に他界し相続財産は不動産を含めて全てお母様に相続した。80歳のお母様は健康状態は良好であるものの今後も独り住まいが続くことで防犯面や体調面において不安を抱えている。
現在、建物は劣化しておりリフォームする場合には多額の費用が見込まれる。
・対象物件
在来木造2階建・旧耐震基準の建物
世田谷区内の270㎡の土地
建蔽率60%、容積率160%の条件
在来木造2階建・旧耐震基準の建物
世田谷区内の270㎡の土地
建蔽率60%、容積率160%の条件
・建物状況
約25年以上前にリフォームされてから現在まで手を掛けていない。現在、建物は劣化しておりリフォームする場合には多額の費用が見込まれる。
約25年以上前にリフォームされてから現在まで手を掛けていない。現在、建物は劣化しておりリフォームする場合には多額の費用が見込まれる。
建物の劣化度合いを確認するために現地調査を実施。
旧耐震建物ゆえに耐震補強はしなければならない。また外壁屋根は劣化度合が高く、住設機器、内壁・床等も全面的にリフォームしたほうが良いことがわかった。
恐らくフルリフォームには2,500万円以上の費用が掛かる可能性が高い。
お母様の相続人は子供3人。
相談者の長女と次女は共に結婚しており子供が二人。長男は離婚したのち単身で子供はいない家族構成。
お母様の意向を確認。売却する意思があるか、またどの程度の資産があるかをヒアリング。
お母様は売却することに異論はないが、その後の住まいをどうするかは考えていない。また資産は当不動産のほかに金融資金として3,000万円ほど所有。
相続人の意向も確認。お母様との同居を希望している相続人がいるか。
次女は大阪で配偶者の両親との2世帯住宅に住んでおり東京に戻ることは考えていない。
長男は商社勤務で不動産を幾つか所有しており当不動産に住まう意思はない。
長女家族は社宅住まいで将来的にはマイホーム検討を考えているためお母様との同居を希望している事が分かった。
売却した場合の査定金額を提示。また売却金額で買換え不動産購入の意思表示の確認。
不動産売却した場合の査定金額は25,000万円。
2区画に分割することはできるが間口が狭い長方形の敷地となる。お母様のお考えとしてはこの不動産を売却するのは問題ないが、他に不動産資産を所有(買換え)することは考えられないという意見。
建替えを行った場合の活用案として賃貸住宅等の活用を検討できるかを確認。
駅徒歩9分で人気の高いエリアであることから市場調査を行い、賃貸住宅としての需要もあることを確認。
相続が起こった場合の事を想定した場合、賃貸併用二世帯住宅の建替えが有効。
今回のご相談は母親が一人で暮らしている住まいを建替えるべきか、リフォームか、それとも売却するかというご相談でした。相続が起こった場合には納税しなければならないことが想定されたため、相続対策も併せて検討すべきとアドバイスしました。
先ずは3人の相続に対してのヒアリングをした結果、相談者である長女が当不動産を引き継ぐのが有効であることを次女と長男に理解していただいたところから始まりました。
先ずは3人の相続に対してのヒアリングをした結果、相談者である長女が当不動産を引き継ぐのが有効であることを次女と長男に理解していただいたところから始まりました。
お母様との分離型2世帯住宅を建て小規模宅地等の特例を利用し節税効果が図れる旨を説明したことでリフォームの選択肢はなくなりました。
また不動産の有効活用の観点から、2世帯住宅だけではなく2戸程度の賃貸住宅を併用することで将来収益を得ることが出来るというご提案をしました。
不動産を相続人3人で公平に分割する方法は?
問題は270㎡の不動産すべてをご長女が引き継ぐことで相続の分配が公平でなくなるという点です。
そこで当不動産を2分割することをご提案しました。
分割して敷地延長となる土地を先に売却し金融資産に変えるか、将来売却しやすいように敷地分割をしておくことで、その土地を次女と長男に相続資産として継承することが可能となります。
コンサルタントのまとめ
不動産全てを一括売却する案もありましたが、売却資金を金融資産として残すことは相続税の負担が大きくなることを説明しました。そこで長女がお母様の面倒をみることを条件として賃貸併用かつお母様との2世帯住宅を建て、残った敷地を時間貸しの駐車場経営で収益を得て、その敷地を将来売却できるよう次女と長男に相続するという方向性となりました。
建築資金も全てアパートローンとしてお母様名義で借り入れを行い、負債は長女に引き継ぐ方向性とすることで相続税対策も兼ねたご提案が実現できそうです。
当初、築年数が経過している不動産を売却するかリフォームするか建替えるかを相談しにいらっしゃいましたが、結果としては将来の相続対策まで考えたご提案をさせていただくことでお母様を含めた4名様の同意をいただき建築計画を進めていくことになりました。