全8戸中4戸が空室の老朽アパートの建替えについて
築50年を超えている自宅併用の老朽アパート。品川区に位置して敷地も80坪あり、駅徒歩4分の好立地ではあるが、借地で地代や老朽化に伴う建物修繕費用が想定以上掛かっていて全8戸中4戸が空室のため収支計画上は赤字になってしまう。
この度息子夫婦(現在賃貸住まい)が2世帯住宅+賃貸住宅での建て替えを提案してきた。
本人は66歳でそもそも借地でローンが組めるか、賃貸事業をして老後資金を取り崩すことにならないかとても不安で検討するにあたって今後どのようなことをしていくべきかについて教えてほしいとのこと。
借地契約書内容を確認
地代や建替え承諾料、更新料などの金額、更新時期と建物内容(堅固OR非堅固建物記載)記入事項を確認し、事業計画書に内容記入。
現賃借人4世帯の状況ヒアリング、立退きにかかる費用感の見通しを立てる
賃借人4世帯の中で立ち退きに費用が掛かるのは2世帯。今後掛かるであろう、おおよその立ち退き費用と立ち退き開始スケジュールについて打合せ。
賃貸併用2世帯住宅プランから事業計画を作成
まず、用途地域などの都市計画を確認し、自宅と賃貸の割合をチェック。
その上で、2世帯住宅及び賃貸住宅に実績のある建築会社を3社ご紹介。自宅の要望事項から賃貸併用2世帯住宅プランを作成し、見積書も添付した資料を提示。
もっとも気に入ったプランは、自宅(2世帯住宅)とは別に単身向けの大きめの1Kが8戸取れる設計で、市場調査の結果から単身向けであれば一戸当たり28㎡くらいの大きさが他の賃貸物件との差別化も考慮した提案となっていた。
その会社にコストダウン提案とさらに価格交渉を施したところ 15,000万円の総額となった。それを基に、賃料査定を行い、承諾料や地代、立ち退き料も考慮した。事業計画書を作成。
借地でもアパートローンが組めるかを金融機関複数社に打診。
借地のアパートローンは借り入れが難しいため難航しましたが、収支計画が良好なことが評価されて2行が前向きに検討。
息子世帯が住宅ローン・アパートローンの併用にすることで、結果的には35年でローンを組むことができました。
相続の確認のため家系図を作成
相談者(ご主人+奥様)のご子息は長男一人。よってこの長男と同居することによって相続対策も可能であることが判りました。
賃貸併用住宅の成功は多方面からのアドバイスがあってこそ
借地での賃貸併用2世帯住宅ということで大きなお金が動きますし、地主が協力してくれなければこの計画が上手くいくことはありませんでしたが、協力的であったことや、最終的には今回請負契約をした建築会社の担当者も賃貸経営に対しての知識があり、多方面からのアドバイスがあったことが成功した理由であると考えます。
ご子息も一人であることから相続対策も兼ねた計画でしたがすべてが上手く回った相談事例です。