不動産売却

賃貸併用住宅の空きテナントがコロナ禍で埋まらない。子名義のマンション購入で売却や賃貸経営の選択肢を広げる。

相談内容

今回は建て替えを前提にコンサルティングを承ったお客様が、コロナ禍の影響をうけ、結果として不動産の売却に至った事例をご紹介しましょう。

 

弊社にご相談に来られた経緯ですが、お客様が所有する旧耐震の賃貸併用住宅の店舗賃貸部分がコロナ禍の影響でもう1年以上テナントが決まらない。さらに、自宅部分も老朽化しており住みづらくなってきた。何とかしたいというご相談でした。

 

お客様が気になるポイントは以下の2点
○なぜ1年以上テナントが決まらないのか。
○現在のお住まいを建て替えした場合、収支があうのか確認したい

 

そのため、現在お持ちの店舗併用住宅の周辺市場調査、ならびに、複数の住宅会社に依頼して建て替えプランを複数用意のうえ、それぞれのメリット・デメリットについて、比較検討することにしました。

 
 

1年以上テナントが決まらないことについては、周辺の市場調査を行った結果、広告手段・周辺相場と比較して賃料が適正であるかを検討。まず、テナント募集広告手段の改善に着手しました。
結果、テナント募集のお問い合わせは増えたものの、お問い合わせいただいたお客様からご入居のお申し付けまで至らず。

賃料の見直しを検討しましたが、当該地域の市場ならびにコロナ禍以降をも予測しての店舗需要、店舗賃貸ならではの特殊性、将来売却した場合の利回りを考慮した結果、安易に賃料を下げる意味はないという結論になりました。

●並行してお住まいの建て替えも検討いたしましたが、当該地域に店舗併用住宅を新築(建て替え)した場合の「想定賃料」ならびに「建築費用」から試算した結果、残念ながら弊社が基準としている想定利回りには届きませんでした。

 

そのような状況では、無理して建て替えしたとしても、将来想定できる所有者の負担は大きなものになります。よって建て替えについても検討から外しました。

 
 
 

次に、現況の不動産売却の比較検討を行いました。
不動産を売却して住み替えるか、現状のままテナント募集を行い、のちに不動産の売却を行うことと、どちらがより適切な選択肢を検討。所有者ご家族のライフプランに沿った住み替えについて計画を練り直しました。
ご高齢の所有者だけでは、残念ながら売却し住み替える以外の選択はありませんでしたが、ご子息から同居も可能とのお話をいただきました。

 

将来、様々な検討ができるように、ご子息名義で住宅ローンを組んで、マンションを購入する方法をとりました。この場合、現況建物の賃貸が決まった時は賃料でご自身の生活費を賄い、そして、状況に応じて現況不動産の売却もできます。

 
 

不動産はすべてに違いがあり、同時に所有するお客様の属性もそれぞれです。したがって、本来はお客様が不動産資産に対して選択できる手段も複数あり、その中からより良い選択肢を選ぶことができるべきです。

お客様にあった複数の提案をできるかは、不動産に関わる担当者の経験はもちろん、その担当者とお客様自身がどのぐらい密にコミュニケーションをとるかにかかっています。

 

お客様が満足できるように問題に対する解決策や、想定されるリスクに向けた複数の対策を検討し、提案してくれる不動産会社であることが大切です。
まず、将来ご自身に想定される可能性があるリスクに対する備えをすることが、最優先に取り組むべきことなのです。

担当者

海保 健

不動産コンサルタント

関連記事