12月に入り、今年も残すところ1か月を切りました。これからは忘年会や納会、そしてクリスマスとイベントが多くなり、あわただしく時間だけが過ぎていきます。まさに師走です。やり残したことがないか、今一度振り返る必要もありそうですね。
さて、今年も空き家の相談が多かった1年でしたが、関連の大きなトピックスとして、一部法律が改正になるのでご紹介します。
空家等対策の推進に関する特別措置法の一部改正について
2018年の調査では、空き家の数は 849万戸。うち賃貸や別荘などの二次的住宅を除く、居住目的のない空き家は349万戸と、前回2013年の調査が182万戸だったので、約1.92倍に増加しています。
2013年に施行された当初の目玉は、市区町村に特定空き家の指定ができ、助言・指導、勧告、命令、そして代執行ができるというものです。
事実、ある程度の成果をあげました。
- 2021年までの成果
- 助言・指導 30,785件
- 勧告 2,382件
- 命令 294件
- 行政代執行 140件
- 略式代執行 342件
結果、こうした取り組みや空き家問題の普及啓発により、除却や修繕が行われた空き家総数は、全国で142,528件となっています。
しかしながら、前回の調査から増加した空き家は、182万戸から349万戸と160万戸増加し、歯止めがかかりません。このままだと2030年には推計で 470万戸にものぼると予測されています。
今回の改正で着手したのが、特定空き家に指定される前の状況です。
特定空き家に指定される前の状況
特定空き家に指定するには、倒壊の恐れのある、あるいはごみの不法投棄、悪臭の悪化など特別な状態でないとできません。
そこで、放置すれば特定空き家となる恐れのあるものを、市区町村が新たに“管理不全空き家”と指定し、指導・勧告すれば、固定資産税の住宅用地特例を解除するというものです。
なぜ、老朽化した空き家を解体除却しないで放置しているかといえば、家が存在するだけで固定資産税が《1/6》になるという大きなメリットが享受できるからです。
管理不全空き家に指定されれば、今まで10万円だった固定資産税は60万円20万円であれば、いきなり120万円となるわけですから大きいですね。
今回のこの措置は、放置空き家にとっては大きな転換ポイントになります。加えて、来年4月からは、相続登記の申請義務化も始まります。4月以降の相続だけでなく、施行前の相続も対象となりますから要注意です。亡くなった方がまだ所有したままの登記状況には、3年間の猶予があるものの放置すれば過料の罰則もあります。
空き家問題の最大原因は、相続問題
相続登記の申請義務化に対処するためには、遺産分割協議を行い、名義人変更を実施、その後空き家の利活用方法を検討してください。