全国で猛暑が続き、日中は日なたに出ると肌が焼けるような暑さ。7月は、35度を超える猛暑日が観測史上最多だったとのことです。
それでも、夕方になるとそよぐ風が涼しく感じられるようになりました。8月は旧暦では秋。8月15日は中秋です。暑い7月も過去の思い出となり、なんとなく時の経過にもの寂しさを感じますね。
いつになったら建築費が下がる?「2024年問題」とは
さて、先日、いつになったら建築費が下がるのでしょうかという相談がありました。いえ、今後下がるということはないですよといつもの回答をしましたが、まだ同様に思っている人が多いようです。
昨年位から急激に上昇している建築費ですが、これは一過性のものではなく今後も物価上昇は続くと思います。一つは建築資材の高騰が理由ですが、今後は人件費がそこに上乗せされるからです。
いわゆる「2024年問題」です。2019年4月に改正された労働基準法では、時間外労働の上限は、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできなくなりました。
ところが、これでは成り立たない業種が2つ。運輸業界と建設業界です。この2業種に限り、実は5年間の猶予が与えられていました。その期日が2024年4月ということで「2024年問題」と言われています。たとえば、建設業界において、現場監督の仕事は朝 8時位から 18時位までは現場で仕事をし、その後帰社して納期の確認や工程のリスケジュールなど残務に追われます。1日2時間程度の残業制限では追いつきません。
現場監督はいくつもの現場を掛け持ちしていますから、この制限を守ろうとすれば、担当現場の数を減らすしかありません。つまり新たな人材の確保が必要になります。
人出不足の中、人材を増やすためには労働条件の改善が必要になります。先週の産経新聞によると、大手メーカーである積水ハウス建設では2023年4月入社の新入社員の年収を、前年比で最大11%(約 17万9千円)増やしたとのこと。
また、工事責任者は、これまで 30代で500万~600万円程度だった年収を、2024年4月から最大1.8倍の約900万円にする計画だそうです。
建設労働者のイメージ改善のために、「大工」から「クラフター」に呼称変更。制服も全国でセレクトショップを展開するビームスに制作を依頼し、完全週休2日制、男性育休取得率100%などを徹底するとのことです。
大和ハウスなどは、建設現場でロボットを採用
下請企業には独自で人材が確保できるよう、1年間にわたり毎月7.5万円を補助する独自の補助金制度を導入するとのことで、今後大手メーカーは追随する動きです。
一方、中小企業である工務店さんや下請零細企業は対応できるのでしょうか。2024年以降、経営体質の弱いところから淘汰され、倒産が相次ぐというのが建設・運輸業界の「2024年問題」です。