すっかり初夏の様相ですね。寒がりな私などは、昼間は別として朝晩はスーツだけではつらいのですが、春物でもコートなど来ている人など男性は皆無ですから仕方ありません。まだ秋冬物のスーツですが、もう少ししたら春夏物に衣替えですね。
令和5年度税制改正大綱・相続時精算課税制度の影響
相続・贈与関連の相談が多くなってきました。おそらくは、令和5年度税制改正大綱によって、2024年1月1日以降の贈与より、相続開始前の贈与が相続財産へ加算される期間が死亡3年前から7年前へと延長されたこと、そして相続時精算課税制度にも、2,500万円以外に110万円の非課税制度が付加されたことによるものだと思います。
先日もこんな相談がありました。3年前より、110万円の暦年課税制度を利用して、子供2人に贈与しているとのことで、今回の税制改正によってどう変わるか、そして来年以降は暦年課税制度と相続時精算課税制度のどちらがいいかというものでした。
どういう形で暦年課税による 110万円を贈与しているかと尋ねると子供2人の通帳を作り、そこに預金から移しているとのことでした。一番多いパターンで、一番まずいパターンでした。
まず、本人の同意なしに勝手に親が通帳を作り、財産を子供に移転しても暦年贈与にはなりません。贈与契約を親と子が締結し、実際に子が使っている口座に 110万円を入金することが大切です。
そもそも、勝手に子供名義で口座を作ることも最近では難しいのですが、仮に作れたとしても、単純に自身の財産を別に移転しているだけで、暦年課税制度の本来の趣旨からは外れています。
贈与契約で子供と意志の確認をした上で、子供が普段使っている口座に入金をするべきです。
総財産や相続する目的を考えて選択を
相続時精算課税制度に 110万円の非課税枠が追加されたことで、混乱している人も多いようです。
そもそも相続時精算課税制度は、2,500万円の枠の中で、子供などに財産を移転しても、その時に課税されるわけではなく、実際に相続が発生した時に相続したものとして加算される、いわゆる“税の繰り延べ”制度です。
暦年課税制度と比較し、わかりづらく手続きが面倒ということもあって利用する人が少ないというのが問題でした。
今回の改正では、暦年課税制度の悪用を減らし、同様のメリットを追加し相続時精算課税制度の利用を増やすことが目的だと思います。
暦年課税の 110万円より、2,500万円という財産移転額を増やすことにより、子の消費意欲が増し、経済が活発化することを望んでいるのだと思います。
いずれにしても、暦年課税制度と相続時精算課税制度は選択制で、一度相続時精算課税制度を選択してしまうと、暦年課税制度は利用できなくなるますから、ご自身の総財産や相続する目的を考えて選択してください。