4月に入り、昨日から新年度のスタートです。東京では桜もほとんど散ってしまいましたが、今後は桜前線も北上し、見頃を迎えるところもあるので、追いかけ旅行をしたいところですね。
住宅業界に衝撃的な記事
先日住宅業界においては衝撃的な記事が出ていました。大工の人口が、10年で10万人減少、歳以上に占める割合が34%で3人に1人以上が高齢者という現実です。
総務省が5年に一度行う国勢調査の抽出詳細集計によると、最新の2020年の職業分類「大工」の人口は、29万7,900人。前回調査の2015年の 35万3,980人から▲15.8%の減少で、10年前の2010年の40万2,120人からは、10年間で10万4,220人も減少したとのことです。このままいくと2030年には、20万人位まで落ち込む予測もあります。
一方、日本FP協会の小学生の「将来なりたい職業」ランキングによると、大工は2019年まではトップ10の常連でしたが、このところはユーチューバーなどの新しい職種にもおされ、トップ10から外れましたが、それでも昨年は14位です。なぜこれだけ人気があるのでしょうか。
大工が減少してやっていける理由
大きな理由の一つは、住宅着工戸数の減少です。スクラップ&ビルド(建てては壊し)が国策だったバブル時、180万戸あった住宅着工戸数ですが、昨年は約 85万戸に。特に大工の見せ場である注文住宅は、ピーク時の約60万戸から2022年は25万戸へ大幅に減少しています。今後も人口・世帯数減少により、その傾向は変わりません。
工務店が淘汰され、企画住宅が中心のハウスメーカーやビルダーに取って代わられたこと、そして現場で切ってはったではなく、構造部材を工場で加工する(プレハブ)ことが主流の現在では、大工の領域が減り、賃金も上昇することはなくなりました。
次に、労働条件です。いわゆる「きつい、きたない、危険」の3K+低賃金。小学生から見たら、住宅を建てるというのは、夢を叶える職業で人気が高いのですが、いざ職業として選択する際には、現実的ではありません。賃金のピークは、40代から50代で、全国の平均年収は 500万円程度。東京で一人親方の場合は、800万円位になりますが、個人事業主のため、その中から社会保険から車代、ガソリン代、道具代などの実費がかかります。賃金だけを見れば、とても夢のある職業ではありません。
住宅業界これからの大きな課題
新築は、構造部材以外でもプレハブ化が進み、効率化が図れても、リフォームはそういうわけにはいきません。知識と経験と技術が必要です。また、現在の国策は、既存住宅(中古住宅)の流通をいかに増やすか、空き家を減らすために、どう利活用させるかが大きな課題です。
大工の大幅な減少、そして高齢化が進んでいる、技術の伝承をしたいが、なり手となる若者の大工がいないことは、住宅業界の大きな問題です。