戻り梅雨とはよく言ったもので、猛暑から一転して雨が多いですね。しかもこの時期は、災害的な豪雨が毎年のように訪れます。
週末以降は、ようやく天候も安定するみたいですが、コロナも第7波に入り、熱中症との両面で気をつけなくてはなりませんね。
さて、先日こんなお問い合わせがありました。
生産緑地の解放で土地の価格が下落すると言われた“2022年問題”は一体どうなったのでしょうか。ずっと気になっていたとのことでした。
そこで、この“2022年問題”について解説します。
“2022年問題”とは、1992年の改正生産緑地法の改正により、指定された市街化区域内の生産緑地が、この秋 30年という期間満了後に大量に売りに出され、土地の価格が暴落するのではないかという問題でした。
指定された生産緑地は、全部で12,575ヘクタール。東京ドーム 2,000個を超える広さで、30坪の宅地に換算されると約 130万戸にも及びます。多くが、一都三県、大阪、名古屋などの大都市に存在しています。
東京でも都心を少し離れると、世田谷区や練馬区でも散在していますね。こんな便利なところにこれだけの敷地があるのなら、農地よりも宅地にした方が、よほど利活用には向いているのにと思ったことでしょう。
当時は、市街化区域内の農地の保全が主目的で、一定の条件を満たすと相続税の納税猶予や固定資産税などの税制優遇を受けられ、その代わりに30年間の営農義務が課され、その期間は転用や売却などは一切できません。
30年間経過後は、市区町村に買取りを申し出ることになるのですが、そんなお金はどこにもありませんから、結果として建売業者やマンションデべロッパーに売却され、供給が一気に増えることにより土地の価格が暴落するのではないかと言われたのが“2022年問題”の発端です。
一方で、消費者は土地の価格が下がり、大量にいい物件が出回るのを心待ちにしていた経緯があり、前段の問い合わせになったわけです。
結果、どうなったかというと、2018年に生産緑地法が改正され、“特定生産緑地制度”が創設、さらに10年間の延長が決定しました。
また、これまで生産緑地内には何も建設できなったのですが、第三者に農地を貸し出すことや、収益を得られるレストランも施設可能となり、獲れた作物を製造・販売・加工することができるようになりました。
これにより、この秋一気に売却されることはなくなったとも言えますが、事業承継する人がいない場合などは、現時点で売却する人もいるでしょうし、10年後にどうなるかという問題も残ります。“2032年問題”ですね。
しかし、こうした問題に一喜一憂する必要はないと思います。ご自身のライフプラン上、今だと思えば今が買い時です。