恐ろしいほど、1週間が早く経過していきます。あと2週間で今年も終わりです。今週が終われば来週はクリスマス、会社の大掃除と年納めが待つのみです。
さて、この師走の忙しい時期に、与党の税制改正大綱が発表されました。“桜の会”の問題はどうなっているのと思われがちですが、あくまで与党である自民党と公明党の、来年度の税制改正の原案です。
国会審議は年明けで、3月には与党多数ですから問題なく通るでしょう。では、2020年度の税制改正大綱の要点を見ていきましょう。早速、117ページにも及ぶ“令和2年度税制改正大綱”をインターネットで検索し、ざっと目を通しました。
まず基本的な考え方として、5項目について基本的な項目が書いてあります。
1.デフレ脱却と経済再生
2.中小企業等の支援、地方創生
3.経済のグローバル化・デジタル化への対応
4.経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し
5.円滑・適正な納税のための環境整備
上記に関連した具体的な内容について、個人所得課税から関税まで7つに細分化され、まとめられています。特に気になった点は、「人生100年時代」とも言われる中で、個人の資金を安定した資産形成に振り向けることに力点を置かれたことと、急速な人口減少で地域経済の縮小が進んでいることから、地方を活性化するための税制上の優遇措置なども盛り込まれたことです。
まず、個人の安定した資産形成の推進をはかるために、公的年金に上乗せする確定拠出年金の加入期間の延長や条件を緩和しました。たとえば皆さんが個人で掛けている“iDeCo”などは、加入期間の上限を現状の60歳未満から65歳未満へ、企業型は70歳未満に延長し、受給開始年齢の選択肢を70歳以降にも広げます。
次に地方を活性化するための税制優遇措置については、所有者不明となっている土地に対して、今までは固定資産税などが適正に課税されない問題がありましたが、相続時において登記をする前に、氏名や住所などを自治体に申告することを義務づけることができる制度を新たに設けます。調査をしても所有者が見つからない場合は、土地を使用している人を所有者と見なして固定資産税を課すことができるようにしています。
また、弊社も取り組んでいる空き家については、保有期間が5年を超えていて売却額が 500万円以下の比較的安い土地を対象に、土地の売却益から最大 100万円を差し引いて、課税対象になる金額を減らします。
あくまで現時点では与党の案ですが、景気が後退している局面を打開するような注目すべき項目は見当たりませんでした。
住宅・不動産業界においては、今までの税制優遇の延長ばかりで、昨年の4大住宅支援策のようなインパクトはなかったように思います。みなさんも一度は目を通してみてはいかがでしょうか。