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築38年賃貸併用住宅の今後と相続対策について不安。子ども達に均等に分割相続できる建替えで賃貸経営を継続。

相談内容

敷地は90坪。建蔽率60%、容積率150%の条件。駅徒歩9分で周辺環境は抜群。相談者は75歳で長男との2人住まい。また相続する予定の長女は夫と2人住まいで10キロくらい離れた場所でマンションを借りている。
現賃貸住宅は木造2階建て全5戸ですべて入居しているが、気になるのは一戸当たりの大きさが18㎡のワンルームの間取り。雨漏りしている部屋もあり年間のメンテナンス費用はかなり掛かっている状態。現在の収支は月間23万円程度。そこからメンテナンス費用や固定資産税などを引くと手残りは少ない。
今後の収益性の見通しも立たないし、このまま賃貸経営を続けていくべきか悩んでいる。
また現預金がない割には土地の資産価値があり相続が起こった場合には、土地を売らざるを得ないのではないかという心配があり悩みは尽きない。

問題点の抽出

・賃貸併用住宅に建て替えた場合に収支計画が成り立つのか。
・長男および長女家庭の可処分所得と現状の家計のキャッシュフローから、今後の賃貸収益が必要かを確認。
・相続の基本的な考え方をヒアリング。均等に分割する方向性なのかを確認。

提案

・複数会社の市場調査書類を提示。単身向けの25㎡か2人家族でも住める45㎡の大きさの1LDKの間取りが将来的にも安定した賃貸経営が成り立つことを説明。
・長男および長女世帯にとって、賃貸収益は将来の家計の安定につながることを家計のキャッシュフローで確認。
・将来の相続に備えて敷地を分割し、2棟の建物を建てることを提案。一棟は母親と長男の2世帯住宅+賃貸。もう一棟は賃貸住宅のみ。
・賃貸住宅を得意としている建築会社を4社ご紹介。鉄骨と木造のどちらのほうが収益性が良く将来的なメリットがあるのかを各社に提案してもらう。
・現預金がないため、借り入れることを前提に収支バランスが取れるかを事業計画書により説明。
・長男と長女にほぼ均等に分割できる相続分割対策案をご提案。
 道路側の敷地を長女に相続(約37坪)敷地延長分の奥の敷地を長男に相続(約53坪)
 の設定を行い各、賃貸住宅3階建てと2世帯住宅+賃貸住宅で評価したご提案書の説明。

費用

・賃貸経営コンサルティング  ・・・請負金額(税込)の3%※①
・市場調査報告書  ・・・①に含む
・建築資金計画書及び収支計算書の提示  ・・・①に含む
・相続対策コンサルティング  ・・・22万円(税込)

コンサルティング結果

今回のご相談のポイントは将来的に賃貸経営計画が成り立つか、かつ相続が起こった際に、長男・長女に均等に分割ができる状況を作ることができるかという点です。

・立地要件が良いため賃貸経営を行うことに問題はなく、築年数が経過していることで建て替えを行った際に現況よりも収支が良くなるかという点については、事業計画書を作成した結果、全て借り入れをしても現状の23万円の収益と比べて42万円まで期待できることが判りました。

・相談者の強い意向で自分が亡くなった後も兄弟仲良くしてほしいという希望を叶えるため敷地の分割ラインを決めて不動産評価を均等にする一方で収益性が増す単身向け6戸と少し大きめの賃貸住宅2戸をご提案させていただきました。

・また自宅用地と賃貸用地の不動産評価額を均等とし、将来、相続が起こった際に争族が起こらないように配慮した計画させていただきました。

■結果:収支計画上、リスクヘッジを考えた2棟の賃貸住宅の計画。一棟は2世帯住宅+45㎡1LDK 2戸の賃貸併用、もう一棟は25㎡1K 全6戸の賃貸住宅を提案し、紹介した4社のコンペをした結果、木造住宅メーカーを選定。

収支上も今以上に収益が得られて、管理費用や固定資産税、メンテナンス費用まで含んだ事業計画書の説明をしたところ、安心されたようで請負契約を締結しました。
相続についても長男や長女の将来を考えた際に争族が起こらないよう2人にもご説明し、納得いただきました。

現金融資産が多くないため賃貸収益を見込むことは欠かせないことではありますが、今後想定されるリスクとその対策までも詳細に検討することで、ご納得いただいたようです。
間取りプランも確定し、これからアパートローンの正式な申し込み(事前審査は合格)と現賃借人の立ち退き交渉について打ち合わせを進めています。

担当者

栗原 浩文 

住宅コンサルタント

保有資格:ファイナンシャルプランナー

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