相続対策で賃貸住宅

愛着ある場所を未来へつなぐ2棟の賃貸住宅 東京都A様・K様邸

借地の分筆ってどこから、どうやって進めればいいの?



借地の上に建つ老朽化した実家を義妹一家(K様)と分筆し、賃貸住宅に建て替えたい。
そんな積年の想いを、ネクスト・アイズの賃貸経営コンサルティングを利用して叶えたA様。


借地権での分筆はできるのか、どのようなプランが考えられるのか。
完成までのストーリーをA様とK様にうかがいました。

建て替えへの想い 築70年の木造家屋をなんとかしなければと思いつつ・・・

A様「建て替えようと思った最大の理由は建物の劣化です。この場所にあった私の実家は築年の木造家屋でしたから。もともとは両親が借地で購入したもので、私は生まれてから結婚するまでその家で暮らしていました。私が結婚して家を出た後、父が他界。その後は、母と弟が住んでいましたが、弟が結婚して義妹(以下、Kさん)が家に入り、子どもが二人生まれたので一時は5人暮らし。やがて弟が他界し、母が高齢になり、借地権の更新が近づいてきたことから建て替えを意識するようになりました」
写真:LDKを中心に、洋間2部屋を配置したK邸。間取りとしては賃貸住戸と同じだが、壁面設置のキッチンをオープンタイプとして広がりをもたせている。




K様「その頃、ミサワホーム主催の借地セミナーに義母と義姉(以下、Aさん)が行って、設計図まで描いてもらったんですが、当時はうちの息子の大学受験が近かったこともあり、もう少し後にしようかと、建て替え計画を先送りすることになったんです」

ネクスト・アイズとの出会い  建て替えまでの試行錯誤の中、「空き家フォーラム」での相談がきっかけに

K様「その後、2021年に両隣が自宅を賃貸住宅に建て替えることになり、一時は我々も同調しようかという流れになりましたが、このときも結局、見送りました」
写真:思い出深い実家の敷地に完成した2つの建物。手前が義妹であるK様ご一家が暮らす賃貸併用住宅(1階が住居、2階が賃貸住戸1戸)、奥がA様所有の賃貸住宅(2戸)。ファミリータイプの2LDKは竣工前に入居者が決定した。



A様「ただ、実家の老朽化は気になっていたので、建て替えは時間の問題。資金的な問題で、当時から、建て替えるなら私とKさん一家との共有名義にして一棟で自宅と賃貸住戸を入れるしかないと思っていたので、その前提でいくつかの大手住宅メーカーのモデルハウスを見たり、メーカー主催のセミナーで税理士さんの話を聞いたりしました。でも、当時はまだ母が生きていたこともあり、具体的なところまで進みませんでした。そうこうしているうちに母が入院。その間、渋谷であった『空き家フォーラムのセミナーに行ってた際に、ネクスト・アイズの森下さんに会ったんです」

建て替えまでの障壁  お母様のご逝去後、地主の拒絶、相続未登記・・・問題が次々と

A様「これまでは検討しては立ち消えてばかりだったので、森下さんには今までの事情を話したうえで、この先どうすればよいかを相談しました。すると、そもそも借地を分筆するのは難しいといわれてびっくり。それまで借地権でも簡単に分筆できると思い込んでいたので、そうなのと」
写真左:「細かいやりとりにはLINEを活用することもありました」と話すA様。
写真右:「森下さんと 宮崎さん、お二人の連携が頼もしかったです」とK様。



K様「そして、森下さんに相談した翌月、入院していた義母が他界して……」
A様「その後、借地の名義が亡父のままで母に相続登記がされていなかったことがわかりました。問題だらけでしたが、森下さんのすすめもあって、まずは地主さんに電話で打診してみたところ、土地の分筆はダメだといわれてしまい、落ち込みました」

土地の分筆・賃貸併用住宅への道  仮プラン持参の挨拶が奏功。市場調査を経て建設へ

A様「分筆できないなら、私かKさんのどちらかが所有するか、売却するしかありません。でも私は愛着のあるこの場所を手放したくありませんでした。そこで今度は母の四十九日が明けるまでの間に、森下さんが事業の採算性の調査をするとともに、以前から私が好印象をもっていたミサワホームに設計の仮プランを依頼し、そのプランをもって森下さん、ミサワさん、そして私とKさんとで地主さんのところにご挨拶に行くことにしたんです。すると、なんと理解を示してくださって。めでたく土地を分けられることになりました」
写真:A様・K様の家づくりカレンダー 2022年から2024年完成まで





K様「そこからギアが入りましたね(笑)」
A様「そのときの仮プランがほぼ最終プランとなり、道路の手前がKさん所有の賃貸併用住宅(1階がK様邸、2階が賃貸1戸)。奥が私所有の賃貸住宅1・2階で賃貸2戸となりました。ネクスト・アイズとミサワホームの市場調査の結果を受けて、賃貸住戸はすべて2LDKにしたところ、募集開始後、すぐに借り手がついて、ありがたかったです」

住まいづくりを振り返って  相続手続きや補助金申請などすべてにわたるサポートに感謝

A様「我が家の問題点を理解されている森下さんから税理士さんをご紹介いただき、遺産分割協議書の作成や相続登記の手続きをすることができました。また行政の補助金の申請手続きや解体業者や仮住まい先の手配など、すべてにおいてサポートしていただき、感謝しています」
写真左:分筆とは、一つの土地を複数の部分に分けて登記すること。土地は1筆、2筆と数えるため、土地を分けること=「筆」を分けることとなり、分筆と呼ばれます。
写真右:快適な住まいに愛猫もゆったりとリラックス。



K様「うちは賃貸併用住宅なので小規模宅地特例が使えるのですが、それもご紹介いただいた税理士さんに申請していただき、助かりました」


写真上:ファミリー層をターゲットに、機能的につくられたK様所有の賃貸住戸。 LDKでは対面式キッチンが採用されている。
写真下:要所要所に開口部を設けたA様所有の賃貸住戸。床までの掃き出し窓のほか、横長のスリット窓など採光も配慮されている。




A様「事業用ローンは申請から入金までに3か月かかりましたが、そもそも借地は事業用ローンを借りるのは難しいようなので、無事に借り入れができたのはミサワホーム・宮崎さんがうまく銀行と交渉してくれたおかげ。余曲折はありましたが、皆で一つ一つ問題を乗り越えていったおかげで、満足できるよいお部屋ができました」

コンサルタントの“目”   地主交渉、補助金申請など竣工を見据えて着実に進行

ネクスト・アイズ 森下 明


借地の分筆はあまり例がありません。今回はこちらの想いを地主様にしっかりとお伝えしたことで許可が得られ、ご両親の遺産分割協議書と相続登記のための資料チェック、補助金の申請など、24年3月の竣工に向けて進んでいけました。
解体と仮住まいで計約500万円の補助金を得て、外構は当社からの分離発注とするなど全体的にコストを圧縮しつつ事業性を確保した結果、ご満足いただける建て替えとなり、うれしく思います。

”建築会社からのメッセージ” 懸念していた融資も 地主の協力を得て無事にクリア

ミサワホーム  宮崎 雅之さん



私の役割で重要だったのは、銀行融資の取り付けです。借地権は所有権に比べて融資を受けるのが難しく、ましてや事業用ローンとなるとかなり厳しい状況ですが、今回は地主様から取引銀行の担当者を紹介していただいたことで道が開けました。本件では当社との契約前に仮プランを作成し地主様が理解しやすいように交渉できたこと、またリーダーである森下さんの采配のもと、SNSなども駆使しながらスムーズに進めることができました。
物件名
A様邸・K様邸 賃貸併用住宅
構造工法
木質パネル接着工法
設計
ミサワホーム
施工
ミサワホーム
住宅コンサルタント
森下 明
取材・原稿 冨部 志保子さん
撮影 杉浦 章浩さん

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