桜もほとんど散ってしまい、葉桜となっています。少し寂しさもありますが、その様子は新緑が息吹いているようで、これからの新しい息吹も感じますね。
さて、先週12日、国立社会保障・人口問題研究所から「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」が発表されました。5年に1度、総務省から公表される国勢調査とは異なるものです。
「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」2020年からの比較でポイント
この調査の2020年からの比較でポイントを列挙します。
- 1.世帯総数
- 2020 年の 5,570 万世帯から増加し、2030 年の5,773 万世帯でピークを迎え、その後は減少に転じ、2050 年には2020 年より310万世帯少ない5,261万世帯となるとの予想です。
- 2.平均世帯人員
- 「世帯の単独化」が一層進むことにより、2020 年の 2.21人から減少を続け、2033年に初めて2人を割り込んで1.99人に、2050年には1.92人となるとのことで、「単独」世帯の割合は 2020年の38.0%から2050年には44.3%へと上昇するとのことです。
- 3.世帯主が65歳以上の世帯
- 2020年の2,097万世帯から2045年の2,431万世帯をピークに、2050年には現在より307万世帯多い2,404万世帯になるとのことで、人口が減り続けるのに対し、高齢世帯は30年後も増え続けることになります。
総人口が13年連続で減少しているのに対し、2030年まで世帯数が増えるのは未婚率と離婚率の上昇が原因です。2020年の国勢調査では、50歳時点で一度も結婚したことがない男性の割合は28%、女性では18%でした。
2050年には、65歳以上男性の独居率が16.4%から26.1%へ、女性は 23.6%から29.3%となり、特に男性の単独世帯化が大きく進むと推計され、高齢単身世帯に占める未婚者の割合は、男性で60%、女性で30%にのぼるとのこと。
つまり近親者のいない高齢単独世帯が急増するとのことです。
まとめ
人口が今後減り続けるのに対し、世帯数は30年後もそれほど減らない。ともない、若い世帯数は減少するのに高齢単身世帯は増え続けるというのが世帯数動向です。
住宅業界においても、こうしたニーズの変化に対応することが求められます。狭小3階建てのような建売りは、若いうちはいいのですが、高齢者には二次利用ができません。いずれは、売却の選択しかないのですが、若者世帯は減少し続けているので、いずれ飽和状態になります。
また、賃貸住宅は以前飽和状態と言われていましたが、東京都などは、コロナ過でのテレワークの普及から郊外へが一転し、今や都心回帰で、結果、2年連続で人口増の1408万人まで増えました。
今や賃貸住宅不足とまで言われています。
しかし、この賃貸住宅も若者世帯のニーズに偏っては、減少しているのでいずれは飽和状態が目に見えています。ニーズに沿った高齢単身世帯向けであれば、今後30年は増え続けるので、収支は安定することになります。
今後の人口動態や世帯数の将来推計は、あらゆる業界の参考となり、国の税制改革や年金改革などの道標になっています。